コーヒー1杯が800万円になった国|香珈房Blog     

2019年2月15日金曜日

コーヒー1杯が800万円になった国

インフレ率が170万%。日本でいうと100円のパンが翌年170万円になっているという、ほんとに現代にそんなこと起きるの?っていうことがほんとに起きちゃってる国、南米のベネズエラ。


今ベネズエラではスーパーに物は無く、国がスタートした配給制度に依存している状態。食糧不足はかなり深刻で、国民の平均体重がこの2年で20㎏落ちたというデータもあるのだそうです。

難民も大きな問題となっています。すでに人口およそ3000万人のうち500万人が国を離れていて、避難民の規模はシリアを超えるともいわれており、世界的に大きなニュースになっています。

元々中南米で最も豊かな国だったベネズエラがなぜこんな状態に陥ったのでしょうか。

大きな理由は石油。
ベネズエラは世界一の石油埋蔵量なんだそうです。石油といえば中東のイメージですがそうではないんですね。2000年代初頭に世界の原油価格が高騰し、国が大儲けします。そしていわゆるばらまき政策によってベネズエラはいっきに豊かな国になりました。

ところが、2014年シェールオイル革命により原油価格は暴落。政府は原油価格の暴落で財源がない中でばらまき政策を続け、紙幣を刷りまくった結果、現在の状態になったんだそうです。

じゃあ途中でやめとけば、という単純な話でもなくて、政治的な混乱も大いに関係しているようです。
詳しい経緯は割愛しますが、現在ますます政治的な混乱状態となっていて、前大統領から引き継ぎ2期目に入ったマドゥロ氏、野党側の暫定大統領グアイド氏の並立状態となっています。マドゥロ氏をロシア・中国などが支援。グアイド氏をアメリカ・イギリス・カナダなどが支援していて、まだ混乱は収まりそうにありません。

まさに現代の東西冷戦とも言える状態。ロシアとアメリカの押し合い圧し合いがこんなところでも起きているんですね。


・・・さて、このベネズエラ。

位置的にもちろんコーヒーの生産に適した国。かつてはコーヒーが主要産業だったそうです。しかし油田が発見されてから、そちらが主要産業となってしまい、コーヒー産業は衰退。日本でもめったにお目にかかれなくなってしまいました。

でも、生産されているのは主にアラビカ種であるといいますし、コロンビアやブラジルが隣接していますが、それらの国の豆と大きく異なる風味のコーヒーであるとも聞きます。

またベネズエラという国名。コロンブスが発見したころ人々は水上生活をしていたので、「小さなベネチア」という意味のベネズエラと名づけられた(諸説あり)ともいわれていて、そういう点でプラスのイメージもありますよね。

ですので、外貨獲得の手段としてコーヒー産業が復活して、日本でも良質のベネズエラコーヒーが飲めるようにならないかなと、いちコーヒー屋としてはそんなことを思うわけです。
そんなに事は単純ではないのは重々承知で。